フォーラム

第4回フォーラム 記録が結ぶ「時の絆」~世界記憶遺産~

平成27年1月18日、第4回 フォーラム 記録が結ぶ「時の絆」~世界記憶遺産~を開催し、480名が参加しました。

基調講演は名和 修氏(陽明文庫・理事、文庫長)。陽明文庫が所蔵する「御堂関白記」は、2013年に世界記憶遺産として登録されました。
これは、平安時代の摂関政治で栄華を極めた藤原道長が自ら書き残した日記であり、日々の政務や儀式を詳細に残してきました。時には戦火を逃れるため疎開させ、各時代の人が守り抜いてきたものです。このように記録を後世に残そうとする人々の心自体が日本の貴重な文化財であると言っても過言ではありません。記憶遺産に登録されたことで、保存するだけでなく、いかに現代の文化に貢献し活用できるか、が問われていると考える、と述べられました。

 

パネルトークは芳賀氏より、記憶遺産事業が人々の記憶にとどめるべき史料の保護と活用を目的とし、現在301件が登録されていること、現在、日本では「東寺百合文書」と「舞鶴市のシベリア抑留・引揚関連資料」が候補として選ばれていることに触れ、記録は過去と未来を結ぶ時の絆であり、明日の京都、明日の日本をつくる道しるべである、と述べられました。

井口氏からは、京都府が1967年に「東寺百合文書」を東寺から買い取ったことや、奈良時代から伝承された文書は約2万5千通にのぼること、江戸初期にこれを借りた加賀藩の前田綱紀が「百合」の桐箱に収めて返却したのが名前の由来であることなどが紹介されました。

山下氏は、間もなく戦後70年を迎える日本にとって、第2次世界大戦後にシベリアや中国大陸に残された歴史を風化させてはならない、と強く訴えれらました。

冷泉氏は、藤原定家の日記である「明月記」をはじめ国宝5件、重要文化財47件を含む数万点の資料を守り抜くことがいかに困難であるかを説明。これを守り抜けたのは、国宝・重文を収めた土蔵には俊成卿、定家卿が神さんとして宿っているという信仰心にも似た心があったからであると述べ、この畏敬の念こそ重要な資料を守り抜く力の根源であると説明されました。

 

最後に松浦会長が京都の有形・無形の文化財は国内外の多くの人々をひきつける事からも、この記憶遺産の価値をしっかり理解し、より関心を高めてほしいと纏めました。

 

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