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第3回 「世界遺産所有者が語る明日の京都」講座
演題 : 古いままで新しい文化
講師 : 教王護国寺(東寺)長者 砂原 秀遍 猊下
開催日 : 平成24年2月18日
場 所 : 教王護国寺(東寺) 客殿
日本には、欽明天皇の時代に仏教が入り、聖徳太子が十七条憲法を制定しました。その中で、最初に「和をもって尊しとなす」次に「篤く三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧なり」と記しています。
東寺の南大門(正門)から入ると、金堂、講堂、食堂と3つの建物があり、この配置は、仏・法・僧を表しています。このような形式は他では見られないのではないでしょうか。
金堂は他でいう本堂のことであり、仏を表し、薬師如来像が奉られています。講堂には、21体の仏像の彫刻が安置されており、これは法を表すもので、曼荼羅と呼ばれます。食堂は、僧を表すもので、生活の中に修行を見出す所です。
弘法大師は、講堂、次に五重塔という順序で建立しています。五重塔は地上から測ると56.93mの高さがあり、木造の建築物としては日本一の高さを誇っております。
この五重塔の1階の屋根から落ちる雨落ちの線を辿っていくと、正方形になります。その正方形の対角線の長さが、金堂の南北の雨落ちの線になり、さらに、その金堂の南北を一辺とする正方形の対角線の長さは、金堂の東西の長さになっています。
このように、平安時代から幾度となく建て替えを繰り返してきましたが、その都度同じ大きさで作られ、平安時代のままを保っているのが東寺であります。
日本の文化は東寺の文化に代表されるように、「古いままで、しかも、新しく進化的である」と西洋の人は称えるといいます。フランスなどには美術品はたくさんありますが、その多くは壊しているものがそのまま飾られております。新しい文化が生まれると、古いものを叩き壊すというのが西洋の文化のようであります。
「和をもって尊しとなす」‐日本は自国の文化を世界に誇ってもいいのではないでしょうか。
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