フォーラム

第3回フォーラム 京都の景観について考える「むかし、京都には町なみがありました。いま?」

開催日 : 平成25年10月9日
場 所 : 立命館大学朱雀ホール
参加者 : 450名
 

第3回フォラーム京都の景観について考える「むかし、京都には町なみがありました。いま?」を、立命館大学朱雀キャンパスで開催しました。このフォーラムには京都府民、市民を中心に約450 名が参加しました。
 
基調講演で、山折哲雄氏(宗教学者)は「風土と景観」を演題に、日本人が備え持つ自然に対する畏敬の念や山岳信仰の心が、私たちの精神文化を育んできたことに触れ、「日本人古来の忍耐強さは、古来の高温多湿との戦いに根源があるのではないか。京都三山や奥にそびえる比叡山は、美しい景観であると同時に、都市形成を支え、人々の精神性を育んできた。山や自然との関係性があって初めて、今の近代的な都市が成り立っていることは、日本の復興や発展を考えるに当たって、忘れてはならない視点だといえるでしょう」と述べられた。
 
続いて、横笛奏者の藤舎名生氏による「鶴」が披露され、日本の文化・芸術に触れる貴重な機会となった。
 
パネル討論では、森本幸裕氏(京都学園大教授)より「日本庭園の傑作として名高い桂離宮は、回遊式の庭園であると同時に川の氾濫対策をしている」など、先人の作庭には水をうまく受け流す知恵が見られると紹介された。また、現代は豪雨による被害が絶えないが、雨を受け止め、保水・利用する雨庭をつくることで、ヒートアイランド現象の防止や生態系サイクルの復活が期待できることや、多彩な植物を植える雨庭は景観の向上にもつながると述べられた。
 
門川大作氏(京都市長)は、京都市が景観政策の1つとして季節や自然を身近に感じられる植栽に力を入れていることや、2004 年6 月に「景観法」を政府に提案して制定し、2007 年3 月に新景観政策を決定した経緯について説明された。また、「新景観政策」のもと、1) 建物の高さ制限の強化、2) 建物のデザイン規制、3) 眺望景観や借景の保全、4) 屋外広告物の規制、5) 京町家など歴史的建造物の保全と再生、6) 不適格建築への立て替え支援という6 政策を進めており、来年8 月までに屋上看板を全て撤去するなど、事業者の方々のご理解とご協力により改善されていると述べられた。
 
山折氏は、「近所を散歩して路地に入ると小さなほこらがあり、きれいに掃き清められお花が添えてあるのを目にする。都市の中心でありながら、伝統的な神仏のほこらが生活に溶け込んでいる町は、日本の中でもあまり例がないように思う。京都の人々がほこらやお地蔵さんを大事に継承していること自体が素晴らしい景観の一つではないか」と述べられた。
 
最後にコーディネーターの松浦より、門川市長の話にあった『景観法』は基礎的な法律であり、景観を守るためには地方自治体がそれぞれに合わせた条例をつくりアクションを起こすことが重要であること、歴史都市の景観にとって電柱・電線の地中化は必要であるが、多額の費用が発生するため、国としての対応も必要であることを確認し、「京都三山と比叡山に囲まれた環境や千年の歴史を誇る建造物とともに、日本人・京都人の心も維持継承していきたい」と述べ、パネルディスカッションをまとめた。(京都新聞 再録記事参照)
 
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