フォーラム

第10回フォーラム「京都大火災 ~火の海に漂うまち:京都~」を開催しました

開催日 : 令和2年10月11日(日)
場 所 : 立命館大学朱雀キャンパスホール
参加者 : 約100名
 
開会挨拶 : 松浦 晃一郎氏(明日の京都文化遺産プラットフォーム 会長)
基調講演 : 「火の海に漂うまち:京都を護る」 
      土岐 憲三氏(立命館大学特別研究フェロー)
パネルディスカッション :「京都大火災」
            梅垣 浩久氏(京都市消防局 予防部長)
            丸山 俊明氏(びわこ学院大学短期大学部教授)
            田中 惠厚氏(宝鏡寺門跡住職)
  [コーディネーター]室﨑 益輝氏(兵庫県立大学大学院教授)
司  会 : 森田 春香氏(立命館大学放送局)
 
 京都では976年の山城・近江大地震以降、およそ140年に一度大地震が発生していましたが、1830年の京都西山断層による大地震を最後に約190年間発生していません。これは「今、この瞬間」京都で大地震が起きてもおかしくない危機が迫っているとも言えます。そして、大地震による同時多発火災は、細街路が各所に存在し、文化財や町屋をはじめとする木造建築が多く残る京都にとって大きな脅威であり、京都全域の市街化が進んだ今、文化遺産は燃える市街地の海に漂っているのです。京のまち、その人命と文化遺産を災害から守るため私たちに何ができるかを考える機会となるよう、本フォーラムを開催しました。
 
 第10回フォーラムは、第8代ユネスコ事務局長・松浦晃一郎氏の開会挨拶で幕をあけ、その後「火の海に漂うまち:京都を護る」と題して、立命館大学特別研究フェロー・土岐憲三氏が講演しました。
 講演では、京都のまちにとって怖いものは地震により発生する同時多発火災で、京都は木造建築の密集度が高く、細街路や袋小路も多く、火災に対する危険度は高いという認識を持たなければならず、ノートルダム寺院や首里城の火災からみてもスプリンクラーの設置が重要であると述べられました。
 また、京都は琵琶湖疎水、桂川など水は豊富にあるものの水路の整備はこれからも重要になるとお話しされました。

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 続いて、「京都大火災」をテーマにパネルディスカッションが行われました。はじめに登壇者から取り組み紹介があり、梅垣氏は、京都市では火災が10万人あたり1.6件と政令都市の中で最も少なく、これは市民の防火意識が高いことも大きな要因だと述べられました。丸山氏からは江戸時代に町人が自ら積極的に消火に取り組んできた背景について、田中氏からは1798年に復興して以来、火災にあうことなく、現在は京都市指定有形文化財に指定されている宝鏡寺についてお話いただきました。
 「大火を防ぐにはどうすべきか」という題材のセッションでは、梅垣氏は「早いこと知って、早いこと消す」が大切だということ、丸山氏は地震と火災の関係では、建物の構造や生活様式から現在の方が火災になる要因が増えていると述べられ、田中氏からは地震による火災について、どこから火災が起きるかわからない、水道管が壊れて水が出ないかもしれないといった、通常の火災とは違う点をご指摘いただきました。最後に室﨑氏が、市民力の大切さについて述べられ、市民のレベルで何ができるのか考えてほしいと参加者に訴えかけました。

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 閉会挨拶では高見氏より文化財を守ることの重要性についてお話しがあり、若い人たちへの教育的意味合いも含めて文化遺産、歴史、伝統、文化を残しつづけていくことは大きな意義があると述べられました。

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