フォーラム

第11回フォーラム「感染症を乗り越える ~道(どう)の文化と京の歴史~」を開催しました

開催日 : 令和3年(2021年)11月8日(月)
場 所 : 立命館大学朱雀キャンパスホール
参加者 : 約200名
 
開会挨拶 : 松浦 晃一郎 氏(明日の京都文化遺産プラットフォーム 会長)
基調講演 :「和歌に詠まれた四季」 
      冷泉 貴実子 氏(公益財団法人冷泉家時雨亭文庫常務理事)
狂  言:「梟(ふくろう)」 五笑会
パネルディスカッション :「感染症を乗り越える ~道(どう)の文化と京の歴史~」
            千  宗左 氏(表千家十五代家元)
            池坊 雅史 氏(華道家元池坊事務総長)
            蜂谷 宗苾 氏(志野流香道二十一代家元後嗣)
           [進行]秋尾 沙戸子氏(ノンフィクション作家)
閉会挨拶 : 高見 茂 氏(明日の京都文化遺産プラットフォーム 副会長)
司  会 : 池田 匠翔 氏(龍谷大学学友会放送局)
 
 新型コロナウイルスが世界中の人々の活動を抑制し、その出口をいまだ見通すことができない今、感染症は人と人との分断、社会の分断というもう一つの脅威に人類を至らしめています。先人たちは目に見えない幾度の脅威を乗り越え、現代の営みと文化を形成・継承してきました。時の流れや自然の営みに逆らうことなく、今日に脈々と受け継がれる伝統文化。そこに宿る精神性と型にこそ、感染症とそれらがもたらす脅威を乗り越える本質的強さがあるのではないだろうか。未曾有の災禍にある今こそ、伝統文化の普遍的価値と精神性について考察し、感染症を乗り越えんとするすべての人々にエールをおくるため、本フォーラムを開催しました。
 
 当会会長・第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎の開会挨拶で幕をあけ、その後「和歌に詠まれた四季」と題して、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫常務理事の冷泉貴実子氏が講演しました。講演では、先人たちが日々変化する月の形で暦を認識し、春・夏・秋・冬と季節を捉えてきたことにふれながら、日本の四季に代表される季節感覚を踏まえて和歌の解説をしていただきました。
 冷泉氏は、お互いに同じものを同じように感じる美感覚は古来より日本で育まれてきたもので、誰もが共有できる世界が
「型」。紅葉を踏み分けて鳴く鹿と聞けば秋を感じ、梅に鶯と聞けば春を感じる。皆が同じ秋、同じ春を感じる季節感覚が日本の「型」、和の美である。これを伝えてきたのは和歌の世界であり、茶道や華道、香道もこうした「型」を踏まえているとお話をされました。
 次に、五笑会による狂言「梟」が披露されました。悪霊に取りつかれた兄を弟が法印に加持、祈祷をしてもらうが、弟も山伏も悪霊に取りつかれてしまうというお話。梟の鳴き声が印象的で、多くの笑いを誘いました。

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 続いて、「感染症を乗り越える ~道(どう)の文化と京の歴史~」をテーマにパネルディスカッションが行われました。はじめに、登壇者からそれぞれの歴史や道につながる精神性についてお話があり、その後は、コロナ禍での対応や次世代へ道をどのように伝えていくのかということを話題に意見が交わされました。表千家十五代家元の千氏は、相手を敬い、思いやる心の大切さにふれながら、人と人とが同じ時間と場所を共有する「一期一会」の尊さについてお話をされ、亭主と主客が心を結ぶお茶の楽しみを人々へ伝えていきたいと述べられました。華道家元池坊事務総長の池坊氏は、第2次世界大戦の終戦からわずか2か月後には池坊華道展が大々的に開催された歴史をひもときつつ、厳しい環境でも学び続けることが道の本質の一つであると来場者に訴えかけました。志野流香道二十一代家元後嗣の蜂谷氏からは、所作に心を込め、自分自身と向き合い人間性を高めることを目指しているというご紹介があり、コロナ禍で稽古ができない時期もあったが立ち止まって考える好機、自分と向き合う時間が与えられたとそのときを振り返られました。

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 最後に、当会副会長・京都光華女子大学学長の高見茂が、型を学び、そこに宿る精神を学ぶことにこそ道の文化の意義がある。先行きの見通しがつかない時代にあって人々は、継続・安定・安心を求めたくなるが、道の文化はその寄りどころになるものであると閉会の挨拶を述べ、フォーラムを締めくくりました。

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