開催日 : 平成28年3月10日
場 所 : 立命館大学朱雀キャンパスホール
参加者 : 450名
琴演奏 : 大谷祥子氏 伊藤美奈子氏(箏曲家)
基調講演 : 高階秀爾氏(大原美術館長・東大名誉教授)
リレートーク :
森口邦彦氏(染色家 重要無形文化財保持者)
下出祐太郎氏(京蒔絵師・京都産業大学教授)
細辻伊兵衛氏(永楽屋代表取締役社長 十四代)
コーディネーター :
山本壮太氏(琳派400年記念祭委員会ゼネラルプロデューサー)
琳派400年記念祭の掉尾を飾るべく無形文化遺産シンポジウム「琳派を楽しむ~京に息づく豊かなデザインの源泉~」を開催し450名が参加しました。
会場ロビーには、登壇者様のご協力により「友禅染の額装」「蒔絵を施したお椀」「てぬぐい」「着物」などの貴重な作品が所狭しと展示され、来場者は時間の許す限り熱心に見学されていました。
シンポジウム開催に先立ち、大谷祥子氏(箏曲家)伊藤美奈子氏(箏曲家)によるオリジナル箏曲「琳派」と「百花譜」の演奏が行われ、迫力のある琴の音色に会場全体が飲み込まれました。
次に「琳派とジャポニスム」を演題に高階秀爾氏(大原美術館長・東大名誉教授)による基調講演が行われ、日本美術史に深く切り込んだ琳派と浮世絵の結びつきや、琳派がヨーロッパにもたらしたジャポニズムブームについて語られました。
続いて映像によるファッションショウでは、コシノジュンコ氏の優美なデザインと能のコラボレーションが会場を魅了し、リレートークへ移ります。
山本壮太氏(琳派400年記念祭委員会ゼネラルプロデューサー)のもと、お一人ずつ壇上にお迎えし、実際の工芸の現場で伝統技術を受け継ぎ、作品を制作されているそれぞれの立場からお話を伺います。森口邦彦氏(染色家・重要無形文化財保持者)はご自身のヨーロッパ留学の経験を振り返り「着物を取り巻く産業構造の変化に伴い、若い方たちは新しいことにチャレンジしやすい環境となる」と述べられ、下出祐太郎氏(京蒔絵師・京都産業大学教授)は大学で教鞭を取り後進の育成にも取り組まれていることから「現在も熱心な学生は少なくないが、受け入れる工房が少ない」との危機感、細辻伊兵衛氏(永楽屋代表取締役社長 十四代)よりは「常に挑むことが結果として琳派になる」と新たな可能性を探る取り組みの必要性などを述べられました。
来場者の皆さまからは「日本人の感性の深さを感じた」「琳派。柔らかく単純で日本の心のおおらかさ」などの感想が多数寄せられ、日本人であることの喜びや誇りを改めて感じることができ、更には将来の可能性について探る機会となりました。